入札の前に、机の上を整える

電子入札で国の工事に応札するまでは、大きく三つの段取りに分けられます。入札に出るための資格を得ること、電子入札に使う道具をそろえること、そして公告を見つけて期限内に書類を出すこと。この三つを公告が出る前に片づけておけば、本番は確認だけで済みます。逆に、どれか一つでも後回しにすると、締切に間に合わないという形で跳ね返ってきます。

手順の全体像

おおまかに言うと、流れはこうです。まず競争参加資格の受付の仕組みを知り、自社がどの時期に申請できるのかを確かめる。次に電子入札に使う道具、つまりICカードとICカードリーダを用意する。最後に電子入札システムへ利用者登録をして、ようやく応札の準備が整う。私はこの三段を、公告が出る前の静かな時期に片付けておくことをおすすめします。公告が出てからでは間に合わない段取りが、この中にいくつも含まれているからです。

① 競争参加資格の受付には「定期」と「随時」がある

国土交通省の競争参加資格審査の申請には、定期受付と随時受付があります。ここで私が気をつけていただきたいのは、定期受付が終わった後の扱いです。国土交通省の案内には、定期受付終了後の申請は、随時受付(インターネットによる受付はできません)のみとなる、と書かれています。つまりタイミングを逃すと、インターネットでの手軽な申請ではなく、書面中心の随時受付に回ることになります。私は、自社の資格の有効期限と次の定期受付の時期を早めに確認し、社内のスケジュールへ落とし込んでおくことをおすすめします。

② 電子入札の「道具」をそろえる

資格の目途が立ったら、次は道具です。国土交通省の電子入札システムの案内では、電子入札システムを利用する際は、事前にICカードとICカードを読み込むためのICカードリーダの準備が必要になります、と明記されています。

このICカードは、誰のものでもよいわけではありません。案内には、企業等の代表者または権限の委任を受けた者のICカードが必要になります、とあります。代表者本人か、きちんと委任を受けた担当者の名義でなければならない、ということです。私は、社内で誰の名義のカードを使うのかを先に決めておくよう助言しています。ここが曖昧だと、申込書類の段階で手が止まります。

入手先も決まっています。案内には、ICカード及びICカードリーダーは、電子入札コアシステム対応民間認証局にて、所定の手続きにより購入してください、と書かれています。民間の認証局で所定の手続きを踏んで取得する、という点さえ押さえておけば迷いません。カードの発行には日数がかかりますから、ここも早めが肝心です。

③ 利用者登録まで済ませて、はじめて応札できる

道具がそろっても、それだけでは応札できません。システムに自社を登録する作業が残っています。国土交通省の案内には、接続確認が完了すると、本番の電子入札システムが利用できるようになります、利用者登録を実施の上、電子入札システムをご利用ください、とあります。接続の確認を済ませ、利用者登録をして、ようやく本番のシステムが使える状態になる、という順序です。

私は、この利用者登録を公告が出る前に済ませておくことを強くおすすめします。カードの取得から接続確認、利用者登録までは、どれも「待ち」の時間が入ります。応札の締切は待ってくれません。

段取りを「仕組み」にしておく

私がこの仕事で痛感したのは、入札は情報戦の前に段取り戦だ、ということです。私の会社では、以前は一件の仕様書を読み解いて自社の見積と突き合わせるのに一時間半ほどかかっていましたが、やり方を見直して五分もかからずに判断できるようになりました。段取りを仕組みに変えると、浮いた時間を本来の積算や現場に回せます。私は、同じ悩みを持つ会社のために同業十五のサービスを自分の目で調べ、何が現場で本当に役立つのかを確かめてきました。

――この記事は、公共入札を支援する株式会社Kuwana代表の桑名敏次が、多くの会社の応札を手伝ってきた経験をもとに書きました。

資格・道具・登録という三つの段取りは、一度整えてしまえば、次からは更新と確認だけで済みます。公告が出てから走り出すのではなく、静かな時期に机の上を整えておく。これが、私が多くの会社を見てきて辿り着いた結論です。入札情報の収集そのものを仕組み化したい方は、BidNaviのサービス紹介をご覧ください。