契約保証金とは、国と契約を結んだ相手方が、その契約をきちんと最後まで果たすことを担保するために、国に納めるお金のことです。工事の請負契約でいえば、落札して契約を結ぶ段になって納める保証金が、これにあたります。価格を詰める作業とは別に、落札したその先で現実に動く資金の話だと考えてください。

落札できたという知らせに気がゆるんだところへ、「契約保証金を納めてください」と言われて慌てる――そういう場面を避けるには、この保証金がいくらで、どういうときに納めなくてよいのかを、契約の前に押さえておくのが安全です。お金の段取りは、札を入れるより前の準備のうちに済ませておきたいものです。

原則は「契約金額の100分の10以上」

会計法は、国と契約を結ぶ者に、契約金額の100分の10以上の契約保証金を納めさせなければならない、と定めています。工事をはじめ、国との契約で契約保証金が求められる場面では、この「契約金額の1割以上」が出発点になります。

ここで取り違えやすいのが、基準になる金額です。もとになるのは入札で入れた価格ではなく、結ばれた契約の金額です。そして条文は「100分の10以上」と書いています。つまり1割がちょうどの上限なのではなく、1割が下限で、それ以上を求められることもあり得るという書き方になっています。契約の規模が大きくなれば、用意すべき保証金もそれに応じて大きくなります。契約金額が固まった時点で、その1割に当たる額を別に用意できるのかを、先に見ておく必要があります。

本文の図解

納めなくてよい場合がある

もっとも、契約保証金はいつでも現金で積まなければならない、というわけではありません。会計法は、同じ条文の中で、一定の場合には契約保証金の全部または一部を納めさせないことができる、と定めています。原則は1割以上だが、例外として納付を求めないことができる道が開かれている、という作りです。

会計法がその場合として挙げているのは、まず、他の法令に基づいて延納が認められる場合に、確実な担保が提供されるとき。次に、物品を売り払う契約で、相手方がその代金を即納するとき。そして、これらのほかに「政令で定める場合」です。納付を求めるかどうか、どこまで求めるかには幅があり、定められた要件を満たせば、現金を積まずに済むことがある、ということです。

見落としやすいのが「全部または一部」という書き方です。免除は、まるごと要らなくなる場合だけを指すのではなく、本来の額の一部にとどめられる場合まで含みます。ですから、免除の対象になるかどうかという切り分けだけでなく、どこまで軽くなるのかという程度まで、あわせて確かめておく値打ちがあります。

この「政令で定める場合」の具体的な中身は、政令などでさらに細かく決められています。ですから、自社が結ぼうとしている契約でどこまで免除され得るのか、保証金の代わりにどんな方法が認められるのかは、思い込みで判断せず、発注者が示す契約の条件のなかで確かめるのが確実です。公告や契約書のひな型にある保証金の項目を必ず読み、現金が要るのか、別の方法で代えられるのかを、契約前に押さえておいてください。

札より前に、保証金の段取りを

入札の準備というと、どうしても価格をいくらにするかばかりに気を取られます。けれど、契約保証金は、落札したそのあとに現実の資金として動く部分です。原則として契約金額の1割以上が要ること、そして免除され得る場合があること。この二つを頭に入れたうえで、狙う案件の規模から逆算して、万一に備えた資金の枠を先に見積もっておくと、落札後の手続きで足踏みせずに済みます。

私自身、入札に出るかどうかを検討するときは、価格の試算と並べて「落札したら保証金はいくら要るか、それをどの方法で用意するか」を必ず一度書き出すようにしています。資金の裏づけまで含めて見て、初めてその案件に本当に出られるのかどうかが見えてくるからです。価格だけを詰めて飛び込むと、勝ったあとの資金繰りで足をすくわれかねません。規模の大きい案件ほど、この1割の重みは増していきます。

――この記事は、公共入札の支援に取り組む株式会社Kuwana代表の桑名敏次が書きました。中小の建設会社が、制度の段取りでつまずかずに入札へ臨めるよう、日々その仕組みづくりを考えています。

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