一般競争入札は誰でも参加でき、指名競争入札は発注者が指名した者だけが参加でき、随意契約は競争をせずに相手方を決める――国の工事の契約方式は、この三つのどれかで行われます。どの方式で契約するかは発注者が決めることで、受注を目指す側が選べるものではありません。けれど、公告を見たときに、その契約がどの方式で進むのかを読み取れないと、参加の段取りを間違えてしまいます。この記事では、三つの契約方式の区別と、それぞれがどのような場合に使われるのかを整理します。
原則は一般競争入札
国の契約は、売買・貸借・請負その他の契約を締結する場合において、後に述べる例外を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければなりません(会計法第29条の3第1項)。これが一般競争入札です。公告を出し、参加を希望する者を広く募り、その中で競争させて相手方を決める。これが原則です。
一般競争入札では、公告に定められた資格を満たす者であれば、誰でも参加できます。発注者が事前に参加者を選ぶことはありません。公告を見て、自社が資格を満たしていれば、申し込んで競争に加わることができます。国の工事の多くは、この一般競争入札で契約の相手方が決められます。

指名競争入札が使える場合
一般競争入札が原則ですが、すべての契約をこの方式で行うわけではありません。会計法は、一定の場合に指名競争入札を使うことを認めています。
指名競争入札とは、契約担当官等があらかじめ競争に加わる者を指名し、その指名を受けた者だけで競争させる方式です。公告は出ますが、参加できるのは指名を受けた者に限られます。指名を受けていない者は、資格を満たしていても参加できません。
指名競争入札が使えるのは、次の場合です。
一つ目は、契約の性質または目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争に付する必要がない場合、および一般競争に付することが不利と認められる場合です(会計法第29条の3第3項)。発注者が、一般競争よりも指名競争の方が適していると判断したときに、この規定に基づいて指名競争に付されます。
二つ目は、契約に係る予定価格が少額である場合です(会計法第29条の3第5項)。少額とは具体的にいくらかは、予算決算及び会計令で定められています。工事または製造であれば予定価格が800万円を超えないとき、財産の買入れであれば500万円を超えないとき、物件の借入れであれば予定賃借料の年額または総額が300万円を超えないとき、などです(予算決算及び会計令第94条第1項各号)。これらの金額以下の契約であれば、発注者は一般競争ではなく指名競争に付することができます。
随意契約が使える場合
随意契約とは、競争の手続きを経ずに、発注者が任意に選んだ相手方と契約を結ぶ方式です。公告も出さず、競争もさせず、発注者が直接に相手方を決めます。
随意契約が使えるのは、次の場合です。
一つ目は、契約の性質または目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合、および競争に付することが不利と認められる場合です(会計法第29条の3第4項)。特定の技術を持つ者としか契約できない場合や、災害の復旧など待ったなしの状況で競争の手続きを踏んでいる時間がない場合に、この規定に基づいて随意契約が行われます。
二つ目は、予定価格が少額である場合です(会計法第29条の3第5項、予算決算及び会計令第99条第1項各号)。工事または製造であれば予定価格が400万円を超えないとき、財産の買入れであれば300万円を超えないとき、物件の借入れであれば予定賃借料の年額または総額が150万円を超えないとき、などです。指名競争よりもさらに少額の契約であれば、随意契約によることができます。
このほか、国の行為を秘密にする必要があるとき、特別な法律により設立された法人と契約するとき、外国で契約するときなど、予決令第99条第1項には25の号にわたって随意契約によることができる場合が列挙されています。
どの方式になるかは公告を見て判断する
国の工事の契約は、このように三つの方式のどれかで行われます。どの方式で契約するかは発注者が決めることで、私たち受注を目指す側が選べるものではありません。
一般競争入札であれば、公告に定められた資格を満たしていれば参加できます。指名競争入札であれば、指名を受けなければ参加できません。随意契約であれば、そもそも公告が出ず、発注者から声がかからない限り参加の機会はありません。
公告を見たときに、その契約がどの方式で進むのかを読み取ることが、参加の第一歩です。公告には契約方式が明記されています。一般競争なのか、指名競争なのか、それとも随意契約なのか。そこを確かめてから、次の段取りに進むことが、入札の基本です。
――この記事は、公共工事の入札支援に取り組む株式会社Kuwana代表の桑名敏次が書きました。



