施工能力評価型と技術提案評価型――総合評価落札方式の2つの類型
総合評価落札方式には、施工能力評価型と技術提案評価型という2つの類型があります。これは平成25年(2013年)3月に示された「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン」で、従来のタイプ分類を再編し二極化したものです。どちらの類型が適用されるかは、工事の特性――つまり技術的な工夫の余地の大きさ――によって決まります。
この2つの類型は、似た名前ながら中身がまったく違います。施工能力評価型では技術提案を求めません。発注者が決めた仕様に基づいて、確実に施工する能力があるかを確認します。一方、技術提案評価型では、企業から工夫や提案を積極的に求めます。構造物そのものの工夫や、施工方法の提案によって、工事の品質をより高めることを期待する仕組みです。
施工能力評価型――技術的工夫の余地が小さい工事
施工能力評価型は、国土交通省直轄工事において、技術的工夫の余地が小さい工事を対象に、発注者が示す仕様に基づき、適切で確実な施工を行う能力を確認する場合に適用されます。
この類型では、技術提案を求めず、企業の能力等(当該企業の施工実績、工事成績、表彰等)、技術者の能力等(当該技術者の施工経験、工事成績、表彰等)に基づいて技術力を評価します。さらに施工能力評価型は、Ⅰ型とⅡ型に分類されます。
Ⅰ型では、施工計画を求めて審査するとともに、企業・技術者の能力等に基づいて評価される技術力と価格との総合評価を行います。施工計画は、施工上配慮すべき事項の適切性を審査し、適切かつ確実に工事を遂行する能力を審査するものです。記述が適切であれば「可」とし、不適切あるいは未記載であれば「不可」として、工事の確実な施工に資するか否かを二段階で判断します。「不可」の場合は競争参加資格なしとなります。
Ⅱ型では、施工計画を求めず、企業の能力等、技術者の能力等に基づいて評価される技術力と価格との総合評価を行います。手続をより簡素化した類型です。

技術提案評価型――技術的工夫の余地が大きい工事
技術提案評価型は、国土交通省直轄工事において、技術的工夫の余地が大きい工事を対象に、構造上の工夫や特殊な施工方法等を含む高度な技術提案を求めること、又は発注者が示す標準的な仕様(標準案)に対し施工上の特定の課題等に関して施工上の工夫等の技術提案を求めることにより、民間企業の優れた技術力を活用し、公共工事の品質をより高めることを期待する場合に適用されます。
技術提案評価型は、A型とS型に大別されます。
A型は、より優れた技術提案とするために、発注者と競争参加者の技術対話を通じて技術提案の改善を行うとともに、技術提案に基づき予定価格を作成した上で、技術提案と価格との総合評価を行います。さらにA型はAⅠ型、AⅡ型及びAⅢ型に大別されます。AⅠ型は、通常の構造・工法では制約条件を満足できない場合に適用し、AⅡ型は、有力な構造・工法が複数あり技術提案で最適案を選定する必要がある場合に適用します。またAⅢ型は、発注者の示す標準案に対して高度な施工技術等により社会的便益の相当程度の向上を期待する場合や部分的な設計変更を含む工事目的物に対する提案を求める場合に適用します。
S型は、発注者が標準案に基づき算定した工事価格を予定価格とし、その範囲内で提案される施工上の工夫等の技術提案と価格との総合評価を行います。工事目的物自体についての提案は求めずに施工方法に対する提案を求めることが基本となる類型です。
配点の違い
国土交通省直轄工事では、施工能力評価型と技術提案評価型で、加算点の合計の上限が異なります。標準点は100点ですが、加算点の合計の上限は、施工能力評価型で30~50点、技術提案評価型で50~70点程度を基本とし、工事の技術的難易度、評価項目の重要度に応じて設定されます。
技術提案評価型の方が、技術提案の評価に多くの点数が配分される仕組みです。このことからも、技術提案評価型では技術提案の内容が落札の結果に大きく影響することが分かります。
どちらの類型が適用されるか
国土交通省直轄工事において総合評価落札方式を適用する場合には、公共工事の特性(工事内容、規模、要求要件等)に応じて、施工能力評価型、技術提案評価型のいずれかの類型を選択します。
選択の基準となるのは「技術的工夫の余地」です。技術的工夫の余地が小さい工事では施工能力評価型が、技術的工夫の余地が大きい工事では技術提案評価型が適用されます。この判断は発注者が行い、入札公告や入札説明書に、どの類型が適用されるかが記載されます。
国土交通省直轄工事に応札する側としては、公告を見た時点で、その工事がどちらの類型で実施されるのかを読み取り、それに応じた準備をする必要があります。施工能力評価型では企業・技術者の実績と施工計画(Ⅰ型の場合)が評価の中心となり、技術提案評価型では技術提案の内容が評価の中心となります。同じ総合評価落札方式でも、類型によって準備すべき書類と力を入れるべき箇所がまったく違うのです。
――この記事は、公共工事の入札に向き合う中小の建設会社を支援している株式会社Kuwana代表の桑名敏次が書きました。私は長く、入札の仕組みと向き合う現場を見てきました。制度の区別を正しく押さえておくことが、遠回りをしない第一歩だと考えています。
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